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あの日に戻りたくなった夜に。やり直しの小説5冊
過去に戻れる喫茶店、他人の体での生き直し、七日間だけの里帰り、欠陥のある時間移動の装置、何度も十八歳に戻る男。人生をもう一度やる話を五冊選びました。
あのとき別の言い方をしていれば、と考える夜は誰にでもあります。小説の中では、そのやり直しに必ず条件がついてくる。ここでは、戻れるけれど現実は変わらない、戻れるけれど自分の姿ではない、といった決まりのもとで人生をもう一度たどる小説を集めました。泣ける連作もあれば長編もあり、いちばん勧めたいのは最後に置いた一冊です。

1『コーヒーが冷めないうちに』
町の喫茶店に、座れば過去へ行ける席があります。ただし席を立てず、コーヒーが冷める前に帰らなければならない。しかも、戻った先で何をしても今の現実は変わりません。変えられないと分かっていて、それでも会いに行く人たちの話が四つ入っています。一話ずつ短く読めます。

2『カラフル』
死んだはずの「ぼく」の魂が、抽選に当たって下界へ戻されます。入った先は、自殺を図った中学三年生の体でした。他人として家族や同級生を見ているうちに、平凡に見えた家の別の顔が見えてくる。やり直すのは自分の人生ではなく、借りた人生という形が効いています。

3『椿山課長の七日間』
百貨店の課長が、働きすぎで急に亡くなります。あの世で未練があると申し出て、一週間に限って、見た目の違う体で家族のもとへ帰ることを許される。あの世の手続きが役所のように描かれていて、笑える場面も多い。自分の家族を、他人の顔で見に行く人情ものの長編です。

4『クロノス・ジョウンターの伝説』
過去へ人を送れる装置には欠陥があって、戻ってくると、跳んだぶんより先の未来へ弾き飛ばされてしまいます。それでも、誰かを救うために乗る人がいる。帰ってこられない前提で過去へ行く連作で、話ごとに乗る人が替わります。SFに慣れていなくても読めます。

5『リプレイ』
四十三歳で死んだ男が、記憶を持ったまま十八歳の自分に戻ります。知っている未来を使って豊かになっても、同じ日にまた死んで、また十八歳に戻る。回を重ねるごとに、男は違う生き方を試していきます。やり直せることが、だんだん重くなっていく長編です。
おわりに
最後の『リプレイ』について。ほかの四冊のやり直しは一度きりか、期限つきです。この本では、やり直しが何度も続きます。何度でもやり直せるなら、どの人生を選ぶのか。読み終えたあと、今の一回のほうが少し大事に思えてきます。どの本も、近くの図書館にあるかどうかを本のページで調べられます。