棚の前で/読みもの/星がよく見えない夜に。宇宙へ出ていく小説5冊

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星がよく見えない夜に。宇宙へ出ていく小説5冊

太陽系に入ってきた巨大な円筒、月で見つかった五万年前の死体、太陽系を連れ回される富豪、止まった宇宙開発、火星に取り残された植物学者。地上から宇宙を思う五冊です。

街の明かりが強くて、夜空を見上げても星がいくつも見えない。そんな夜でも、本の中なら宇宙へ出ていけます。ここでは、宇宙船の戦いではなく、宇宙で何かを調べたり、宇宙へ行こうとしたりする人の話を集めました。科学の手順を楽しむ本もあれば、とぼけた語りで笑わせる本もあります。迷ったら五冊目から。

『宇宙のランデヴー』の書影

1『宇宙のランデヴー』

アーサー・C・クラーク/ハヤカワ文庫SF おすすめ度 ★★★☆☆

2130年、太陽系の外から、直径二十キロもある円筒形の人工物がやってきます。ラーマと呼ばれたその物体の中へ、調査隊が入っていく。氷の海や建物のような形を前に、隊員たちは測っては考え、危ないところを避けて進みます。戦いも悪役もなく、未知のものを調べる手順だけで読ませる長編です。

『星を継ぐもの〔新版〕』の書影

2『星を継ぐもの〔新版〕』

James P. Hogan/創元SF文庫 おすすめ度 ★★★★☆

月の洞窟で、宇宙服を着た人間の遺体が見つかります。調べてみると、死んだのは五万年も前でした。物理学者のハント博士と、世界中から集まった学者たちが、この男の正体をめぐって議論を重ねる。手がかりが一つ出るたびに説が組み替わる、謎解きのSFです。

『タイタンの妖女』の書影

3『タイタンの妖女』

カート・ヴォネガット/ハヤカワ文庫SF おすすめ度 ★★★★★

アメリカでいちばんの金持ちマラカイ・コンスタントは、未来を見通せる男ラムファードから、自分の行く末を告げられます。その言葉どおり、彼は火星へ、水星へ、土星の衛星タイタンへと運ばれていく。人間は何のために生きているのかという問いを、とぼけた調子で転がす一冊です。

『天の光はすべて星』の書影

4『天の光はすべて星』

Fredric Brown/ハヤカワ文庫SF おすすめ度 ★★★☆☆

1997年、宇宙開発は止まったままです。若いころの事故で片脚を失った57歳のマックスは、それでも星へ行く夢を捨てられません。木星へロケットを送ると約束して選挙に出た女性を見つけ、彼女を勝たせるために走り回る。宇宙へ行くための、地上での泥くさい仕事が書かれた長編です。

『火星の人』の書影

5『火星の人』

アンディ・ウィアー/ハヤカワ文庫SF おすすめ度 ★★★★☆

火星探査の六日目、砂嵐で隊は引き上げを決めます。その途中で飛ばされた植物学者のワトニーは、死んだと判断されて置いていかれた。残された施設の中で、彼は土を作ってじゃがいもを育て、水まで自分でこしらえる。絶望的な状況を、計算と工夫と軽口で一つずつ片づけていく話です。

おわりに

最後の『火星の人』について。ほかの四冊は、宇宙の大きさや人間の小ささを感じさせます。この本は、たった一人の人間が、手元にある物だけで火星を生き延びようとします。難しい科学の話も、冗談まじりの日誌の形で書かれているので頭に入ってくる。宇宙ものを読んだことがない人にも勧めやすい一冊です。借りたいときは、各冊のページで近くの図書館の貸出状況を見てください。