あらすじ
謎の解明を任されたのは、物理学者のハント博士。生物学者のダンチェッカーをはじめ、世界中の科学者が「チャーリー」と名づけられた遺体の正体をめぐって議論を戦わせます。遺体が持っていた手帳、見慣れない文字、未知の技術。手がかりが一つ増えるたびに、仮説は立っては崩れていきます。
読みどころ
科学者たちが証拠を積み上げ、仮説を立て、反論し合う過程が、そのまま極上の推理劇になっている。専門用語は出てきますが、読み飛ばしても話はちゃんと追えます。最後に明かされる真相は、人類そのものへの見方を変えるものです。
こんな人に
おすすめしたいのは。謎解きが好きで、SFには少し苦手意識がある人。
シリーズには続編の『ガニメデの優しい巨人』などがあります。この一冊だけでも話は完結しています。
向かないかもしれない人
読みやすさは星3で、物理学や生物学の用語が議論の中に何度も出てきます。人物同士の感情のドラマを追いたい人には、仮説の応酬が続く運びがやや乾いて映ります。
比べ読み
『幼年期の終わり』Arthur C. Clarke
どちらも人類という種の来歴や行く末に視線が届く古典SFで、星の付き方も同じ。ホーガンは月面の遺体という一つの謎を科学者の議論で詰めていく推理の形、クラークは空に現れた船が地球を治め始めるところから時代を跨ぐ形。謎解きの手応えを味わうならこちら、スケールに身を任せたい日は『幼年期の終わり』へ。
『虐殺器官〔新版〕』伊藤計劃
難しい言葉を読み飛ばしても話についていける点が共通します。『星を継ぐもの』は科学者たちが仮説を出し合う知的な議論が中心、『虐殺器官』は各地の虐殺の裏を追う一人称の語りで、暴力の重さが前に出ます。重い場面を避けたい時期にはホーガンから、戦争と技術の行方を考えたいなら伊藤計劃を。








