あらすじ
火星での軍隊、記憶の消去、教団の設立。話は次々に場所を変え、語り口は終始とぼけています。人類の歴史の意味という大きな主題が、投げやりな調子で扱われます。
読みどころ
1959年の作品です。宇宙規模の皮肉を、軽い文体で書ききるのがこの作家の持ち味で、読後に妙なやさしさが残ります。
こんな人に
おすすめしたいのは。皮肉の効いた語り口を楽しめる人。
同じ作者の『猫のゆりかご』『スローターハウス5』も代表作です。
向かないかもしれない人
語り口は終始とぼけていて、話は火星から水星、タイタンへと次々に飛びます。筋の通った冒険SFや、真面目に積み上げる宇宙ものを期待する人には戸惑いがあるかもしれません。
比べ読み
『火星年代記』レイ・ブラッドベリ
火星が出てくるのは同じでも、手ざわりは正反対です。『タイタンの妖女』は人類の歴史の意味をとぼけた語りで皮肉り、『火星年代記』は開拓と入植を詩的な短編の連なりで書く。笑いの混じった皮肉が欲しい日はこちら、叙情に浸りたい日は火星年代記を。
『渚にて 人類最後の日』ネヴィル・シュート
人類規模の破滅や運命を扱う点で並べられる二冊です。『渚にて』は核戦争後の数か月を、破滅の場面を書かずに静かに追うので、重さが残る。こちらは大きな主題を投げやりな調子で転がしていく。沈んだ気分のときはタイタンの妖女を先に選ぶほうが楽です。









