棚の前で/読みもの/ハロウィンの前の夜に。幽霊が出てくる小説5冊

PR本ページのリンクにはアフィリエイトが含まれます。

棚の前で

読みもの ・

ハロウィンの前の夜に。幽霊が出てくる小説5冊

怪異の噂を集める准教授、死者の見える赤い左目、映画館に通う女の幽霊、屋敷の窓辺に立つ人影、江戸の店で一人ずつ語られる怪談。幽霊との出会い方がそれぞれ違う五冊です。

ハロウィンの前の晩に、お化けの出てくる本を並べてみました。ただし、どれもひたすら脅かしてくる話ではありません。幽霊をどう見るか、どう聞くかが、本ごとに違います。謎解きの道具としての幽霊から始めて、話を聞くことで人が変わっていく話で終わる並びです。怖いのが苦手なら一冊目から、一冊だけなら最後の本を。

『准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき』の書影

1『准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき』

澤村御影/角川文庫 おすすめ度 ★★★★☆

嘘をつく人の声だけがゆがんで聞こえる大学生の尚哉は、人づきあいを避けて暮らしています。そんな彼が、都市伝説や怪談に目のない准教授の調べものを手伝うことになる。噂の正体を、民俗学の知識で一つずつほどいていくシリーズの一作目です。

『心霊探偵八雲1 赤い瞳は知っている』の書影

2『心霊探偵八雲1 赤い瞳は知っている』

神永学/角川文庫 おすすめ度 ★★★★☆

大学の一室に住みついている八雲は、赤い左目で、死者の姿を見てしまいます。心霊スポットに行ったあと様子のおかしくなった友人のことで、晴香が彼を訪ねてくる。幽霊が見える力を、生きている人の嘘を見抜くために使うミステリの一作目です。

『20世紀の幽霊たち』の書影

3『20世紀の幽霊たち』

ジョー・ヒル/小学館文庫 おすすめ度 ★★★★☆

閉館の近い古い映画館に、女の幽霊が出る。表題作はそんな話です。ほかの短編も、怖いもの、切ないもの、笑えるものと調子がばらばらで、作者自身の解説が巻末についています。幽霊の話の幅がどこまで広がるかを見せてくれる短編集です。

『ねじの回転』の書影

4『ねじの回転』

ヘンリー・ジェイムズ/新潮文庫 おすすめ度 ★★★☆☆

田舎の屋敷で幼い兄妹の世話を任された家庭教師が、屋敷のまわりで、いるはずのない男と女を見かけるようになります。話はすべて彼女の手記として語られ、子どもたちが何を見ているのかは確かめようがありません。幽霊がいるのかどうかを、読む側が決めることになる古典の中編です。

『おそろし 三島屋変調百物語事始』の書影

5『おそろし 三島屋変調百物語事始』

宮部みゆき/角川文庫 おすすめ度 ★★★★☆

つらい出来事のあと、人と話さなくなった娘のおちかが、江戸の叔父の店に身を寄せます。そこで、訪ねてくる客の怖い話を、おちかが一人で聞く百物語が始まる。語る人も聞く人も、話し終えたあとで少しずつ変わっていく連作です。

おわりに

最後の『おそろし』について。ほかの四冊では、幽霊は見るもの、解き明かすものとして出てきます。この本では、怪異は客の口から語られるだけです。恐ろしい話を聞くことが、聞き手の傷を少しずつ癒していく。ハロウィンのにぎやかさから離れて、静かに怖がりたい夜に開いてほしい一冊です。各書のページに、区立図書館の所蔵も出ています。