あらすじ
物語は、手記を読み上げるという枠の中で進みます。家庭教師の報告だけが情報源で、子どもたちが本当に何かを見ているのかは確かめられません。読者は彼女の言葉を信じるかどうかを選ばされる。
読みどころ
1898年の作品で、信頼できない語り手という手法の代表例として読み継がれています。この版は小川高義による新しい訳で、古典としては読みやすい部類に入ります。
こんな人に
おすすめしたいのは。解釈の分かれる古典を読んでみたい人。
映画や舞台に何度も翻案されてきました。近年の新訳も複数出ています。
向かないかもしれない人
読みやすさは星2つで、幽霊が実在するのかどうかは家庭教師の言葉からしか判断できません。答えのはっきりした怪談や、すらすら読める文章を求める人には向きません。
比べ読み
『忌館 ホラー作家の棲む家』三津田信三
語り手を信じてよいのか疑いながら読む点で並べられます。『忌館』は古い洋館に越した作家の小説と現実が混ざるホラーで、読みやすさの星は3つ。こちらは1898年の古典で、家庭教師の報告だけが情報源です。古典の言い回しに不安があるなら忌館を先にして、手法に慣れておくのも一案。
『ドラキュラ』ブラム・ストーカー
どちらも手記や記録を通して怪異が語られる古典です。『ドラキュラ』は日記と手紙と電報だけで吸血鬼が近づく形で、訳注と地図が付いて迷いにくい。こちらは幽霊が実在するのかさえ確かめられない曖昧さが核。はっきりした怪物の怖さならドラキュラ、解釈の揺れを楽しむならねじの回転を。








