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仕事に疲れた日に読みたい、働く人の小説5選

占い師、スピーチライター、県庁職員、町工場の社長、ホテルのアルバイト。いろいろな仕事の現場を描いた五冊です。

仕事で疲れた日に、わざわざ仕事の話を読むのかと思うかもしれません。けれど自分と違う仕事の苦労を読むと、なぜか自分の仕事に戻る力が湧くことがあります。今回は、読み口が重くなりすぎない五冊に絞りました。

『強運の持ち主』の書影

1『強運の持ち主』

瀬尾まいこ/文春文庫 おすすめ度 ★★★★☆

OLをやめた女性が、買い物客の行き交う一角で占いの店を開く連作です。相談に来るのは小学生から中年の男性まで。占いの当たり外れより、目の前の相談者に何を言えばいいかで迷う。人の相談に乗る仕事をしている人なら、その迷いに身に覚えがあるはずです。薄い本です。

『本日は、お日柄もよく』の書影

2『本日は、お日柄もよく』

原田マハ/徳間文庫 おすすめ度 ★★★★☆

結婚式で聞いたスピーチに心をつかまれた会社員が、スピーチライターに弟子入りする話。作中のスピーチがそのまま読めるので、人前で話す機会がある人には実用的でもあります。落ち込んだ日でも疲れずに読めるまっすぐな展開です。

『県庁おもてなし課』の書影

3『県庁おもてなし課』

有川浩/角川文庫 おすすめ度 ★★★★☆

高知県庁にできた観光の部署で、若手職員が役所の前例主義とぶつかる長編。予算、手続き、上の許可と、一つ変えるのに時間がかかる様子が具体的です。組織の中で空回りした経験がある人ほど、主人公に肩入れしたくなります。

『下町ロケット』の書影

4『下町ロケット』

池井戸潤/小学館文庫 おすすめ度 ★★★★☆

特許の訴えで倒産しかけた町工場が、その技術ひとつで大企業と渡り合う話で、直木賞を受けています。窮地からひっくり返していく展開が気持ちいい。技術者としての誇りと、社長としての現実の間で揺れる主人公に、働いている人なら自分を重ねる場面があるはず。

『ホテルジューシー』の書影

5『ホテルジューシー』

坂木司/角川文庫 おすすめ度 ★★★★★

最後は、読んだあと旅に出たくなる一冊。しっかり者の大学生が、夏休みに那覇の安宿を手伝うことになる連作です。掃除、予約、客のトラブル。仕事の手順が具体的で、事件はどれも日常の謎なので人は死にません。疲れた日にいちばん気楽に開ける本です。

おわりに

五冊とも、主人公は最初から仕事ができる人ではありません。うまくいかない日の読みものとして、手元に一冊置いておいてください。