あらすじ
こと葉は、ごく普通の会社員。幼なじみの結婚式でスピーチを聞くうちに眠り込んでしまいます。その直後にマイクの前に立ったのが、伝説のスピーチライター・久遠久美。こと葉は彼女に弟子入りし、言葉を書いて人前で話す仕事の世界に入っていきます。やがてその仕事は、選挙の演説にまで広がっていきます。
読みどころ
作中に出てくるスピーチの文面がそのまま読めるので、小説を読みながら、話し方の教本を一冊読んだような気分になる。久美がこと葉に教えるスピーチの心得は、朝礼や結婚式の挨拶を頼まれたときにも役に立ちます。展開はまっすぐで、落ち込んだ日に読んでも疲れません。
こんな人に
おすすめしたいのは。人前で話すのが苦手で、次の挨拶に気が重い人。
同じ作者の『楽園のカンヴァス』が美術なら、こちらは言葉の話です。明るい読み口が好きならこちらから。
向かないかもしれない人
展開はまっすぐで、意外な仕掛けや苦い陰影を求める人には素直すぎる面があります。選挙の演説まで話が広がるので、政治の場面が出てくる小説を避けたい人にも合わないかもしれません。
比べ読み
『舟を編む』三浦しをん
言葉を仕事にする人の話です。『舟を編む』は辞書の一語一語に向き合う編集者たちで、言葉を集めて定める側。『本日は、お日柄もよく』は聞き手の前で話す原稿を書くスピーチライターで、言葉を届ける側です。実用度はこちらが一つ高く、挨拶を控えている人は原田作品、言葉の奥行きを楽しみたい人は三浦作品から。
『三千円の使いかた』原田ひ香
実用度が高めの小説どうしで、『三千円の使いかた』はお金、こちらは話し方が題材です。原田ひ香作品は家族三代の暮らしを通して金の使い道を考えさせ、原田マハ作品は作中の演説原稿を教本代わりに読めます。家計を見直したい時期は前者、人前に立つ予定がある時期は後者を。














