あらすじ
雪白館は、亡くなったミステリ作家・雪城白夜が遺した建物で、十年前に彼が仕掛けた解けない密室の部屋がそのまま残っている。泊まり客は、密室探偵の探岡エイジ、女優の中学生とそのマネージャー、教団の神父など妙な顔ぶればかり。香澄の中学の同級生で、三年前の事件の当事者でもある蜜村漆璃がいて、橋が落ちて館が孤立したところから、現場にトランプが残る密室が続けて見つかります。
読みどころ
第20回「このミステリーがすごい!」大賞の文庫グランプリ作。無茶な前提を一つだけ置いて、あとは密室のトリックを正面から並べるという作りで、副題どおり仕掛けが六つ出てくる。会話は軽く、人物の名前もわざと遊んでいるので、重い本格の前にこれで肩ならしをするのもいい。
こんな人に
おすすめしたいのは。密室トリックそのものを浴びるように読みたい人。
続きは『密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック』で、舞台が島に移ります。
向かないかもしれない人
人物の名前や会話はわざと遊ばせてあり、トリックを並べることが主役です。人物の心理を重く掘り下げる本格や、現実味のある設定を求める人には軽すぎると映るかもしれません。
比べ読み
『十角館の殺人』綾辻行人
どちらも閉ざされた館での連続殺人です。『十角館の殺人』は何も知らずに読むことが大事な一発の仕掛けで、新本格の始まりとされる作品。こちらは無茶な前提を一つ置いて密室トリックを六つ並べる作りで、会話も軽い。肩ならしならこちら、驚きを一度で浴びたいなら十角館を。
『聖女の救済』東野圭吾
『聖女の救済』は犯人側の事情を早くに明かし、手口だけが最後まで見えない倒叙に近い作りで、夫婦の書かれ方が冷ややかで後味も暗め。こちらは密室の謎を次々に解いていく軽快さが持ち味。トリックを浴びたい日はこちら、一つの謎をじっくり追いたい日は聖女の救済が向きます。








