あらすじ
アンリ・ルソーを研究するティム・ブラウンと早川織絵は、伝説的なコレクターに招かれてスイスの邸宅を訪れます。見せられたのは、ルソーの名作『夢』とよく似た一枚の絵。二人は七日間のうちに、この絵が本物かどうかを判定しなければなりません。材料として渡されるのは、一日に一章ずつしか読むことを許されない古い物語でした。
読みどころ
作者は美術館でキュレーターとして働いていた経験があり、絵を見る人の目が変わっていく過程がとてもリアルです。作中の物語を読み進めるほど、ルソーという画家の姿が立ち上がってくる。美術館に足を運びたくなる本です。
こんな人に
おすすめしたいのは。美術館に行くのが好きな人。これから好きになってみたい人。
同じ作者の『暗幕のゲルニカ』は、ピカソを題材にした美術ミステリです。
向かないかもしれない人
ルソーの作品や美術史の話が多く、絵に関心がないと手がかりの面白さが伝わりにくい面があります。死体や派手なトリックで引っ張る謎解きを期待する人にも、肩すかしになりそうです。
比べ読み
『火車』宮部みゆき
星がそろい、同じ賞を受けた二作です。『火車』は消えた婚約者が別人として生きていた謎を、警察の看板を使えない刑事が聞き込みで追う社会派。こちらは名画の真贋を七日で判定する美術ミステリで、殺人よりも絵を見る目の変化が中心です。お金の怖さを知りたいなら宮部作品、美術館の空気を味わいたいなら原田作品から。
『13階段』高野和明
期限つきの調査という形は共通しています。『13階段』は刑の執行までに死刑囚の冤罪を晴らす話で、命がかかった緊張が続きます。『楽園のカンヴァス』の期限は七日、一日一章ずつ渡される古い物語を読みながら絵の謎に迫る組み立て。張りつめた展開を求めるなら高野作品、知的な宝探しを楽しむならこちらを。














