あらすじ
神紅大学のミステリ愛好会に所属する葉村譲と、会長の明智恭介。二人は、同じ大学の探偵少女・剣崎比留子に誘われて、映画研究部の夏合宿に参加することになります。合宿先はペンション・紫湛荘。ところが初日の夜、ある異常な事態が起き、一行は建物に閉じ込められてしまいます。
読みどころ
面白さの核は、とんでもない状況設定を、謎解きの条件としてきっちり使い切っているところ。その状況がどんなものかは、できれば知らずに読んでほしい。鮎川哲也賞を受け、その年の主要なミステリランキングで三冠を取っています。
こんな人に
おすすめしたいのは。いつもとは違う驚きのあるミステリを読みたい人。
続編に『魔眼の匣の殺人』『兇人邸の殺人』があります。2019年に映画化もされました。
向かないかもしれない人
閉じ込められる原因になる事態がかなり異様で、正統派の館ものを期待すると戸惑います。再読性は星3なので、仕掛けを知ったあとも繰り返し味わいたい人には一度で満ち足りる作りです。
比べ読み
『方舟』夕木春央
どちらも閉ざされた建物で殺人が起きる設定で、星も一致しています。『方舟』は地下施設からの脱出に一人の犠牲が要るという条件が緊張を生みます。こちらは合宿先のペンションが思わぬ事態で孤立する話で、その状況を謎解きの条件に使い切るのが見どころ。息苦しい閉塞感なら夕木作品、設定の大胆さなら今村作品。
『告白』湊かなえ
『告白』は教師が教室で告げる一言から始まり、語り手が替わるごとに事件の像が揺れる構成です。一方『屍人荘の殺人』は探偵役と助手役がそろった館もので、仕掛けの面白さに重心があります。人の悪意を正面から見るなら湊作品、謎解きの遊びを楽しむならこちらを先に。










