あらすじ
死刑執行までの日数が章題に置かれ、残り時間が減っていきます。バーテンダー、運転手、劇場の関係者。誰もが女の存在を否定する理由が、終盤で明かされます。
読みどころ
1942年の作品です。冒頭の一文と、時間の刻み方が有名で、サスペンス小説の古典として読み継がれています。
こんな人に
おすすめしたいのは。時間制限のあるサスペンスが好きな人。
同じ作者の『暁の死線』『喪服のランデヴー』も文庫で読めます。
向かないかもしれない人
古い時代の空気や翻訳ものの言い回しになじめない人には、入りにくいところがある。残り日数で追い立てる作りなので、ゆっくり味わう読書を好む人にも向きにくい。
比べ読み
『長いお別れ』レイモンド・チャンドラー
どちらもアメリカの古典だが、『長いお別れ』は謎ときより男同士の友情とマーロウの頑固さを読む本で、分量も重い。『幻の女』は死刑執行までの日数を章題に刻み、名も知らぬ女を探す時間制限で引っ張る。テンポのいい緊張を先に味わうならこちら、ゆったり人物に浸るなら『長いお別れ』。
『ナイルに死す』アガサ・クリスティー
『ナイルに死す』は船上の乗客全員に動機がある、人間関係の緻密さで読ませる謎解き。『幻の女』は犯人探しより、無実を証明できる女の存在を誰もが否定する不気味さが中心。容疑者を推理しながら読みたいならクリスティーを、追い詰められていく焦りを味わいたいならこちらを先に。








