あらすじ
収録作は方向がばらばらです。ソ連の計算機技術をめぐる歴史改変、能力を持つ少女たちの因縁、日本SFの受容史そのものを題材にした一編。どれも過去の作品への目配せが多く、巻末には作者による解題が付いています。
読みどころ
一編ごとに文体も語りの形式も変えるのがこの短編集の特徴です。近年の国内SFの中でも話題になった一冊で、SFをあまり読んでこなかった人の入口にもなります。
こんな人に
おすすめしたいのは。短編ごとに作風が変わる本を楽しめる人。
著者は日本SFの選集の編者としても知られています。単行本は2019年刊。
向かないかもしれない人
収録作の向きがばらばらで、過去のSF作品への目配せも多い短編集です。一冊を通して同じ作風を味わいたい人や、元ネタが気になって落ち着かない人には合わないかもしれません。
比べ読み
『虐殺器官〔新版〕』伊藤計劃
『虐殺器官』は一人の語り手が淡々と戦争の暴力を語る長編で、星の並びは同じです。収録作ごとに書きぶりも語りの形も変わる短編集のこちらとは対照的に、一つの声で最後まで押し通します。国内SFの幅を短く試したいならこちらを先に、腰を据えて一本の筋に浸りたい時は『虐殺器官』へ。
『虎よ、虎よ!』アルフレッド・ベスター
1956年の『虎よ、虎よ!』は復讐だけを支えに生き延びる男を走らせる古典で、後世への影響が大きいとされます。過去の作品への目配せが多いこちらと並べると、古典側の一冊として面白さが増します。一本筋の勢いを追いたい日はベスター、作風の変化を楽しみたい日は伴名練を。








