あらすじ
舞台は、世界が三つの超大国に分かれた近未来のロンドン。オセアニアという国では、党の指導者「ビッグ・ブラザー」のもと、市民の暮らしは「テレスクリーン」によって常に見張られています。真理省で働くウィンストン・スミスの仕事は、党にとって都合の悪くなった過去の記録を書き換えること。党への疑いを抑えきれなくなった彼は、禁じられた日記をつけ始めます。
読みどころ
監視社会、言葉の統制、事実の改ざん。「二重思考」や「ニュースピーク」がいまも普通に使われる言葉になっていることが、この小説の力を物語っています。すらすら読める本ではありません。それでも読み通すと、世の中の見え方が確実に変わります。
こんな人に
おすすめしたいのは。情報や言葉の扱われ方に、違和感を覚えたことがある人。
同じ作者の『動物農場』は、同じテーマを寓話の形で短く描いた作品です。そちらから入るのもひとつの手です。
向かないかもしれない人
読みやすさは星3で、党の仕組みや思想の説明に紙幅が割かれます。息抜きの本を探している人や、展開の速さを重視する人には、重く長い道のりになりそうです。
比べ読み
『すばらしい新世界 新訳版』オルダス・ハクスリー
どちらも管理された社会を描くディストピアの古典です。『すばらしい新世界』は瓶の中で作られ階級を決められた人々が、不満のない暮らしの中にいる世界。『一九八四年』は監視と記録の書き換えで人を縛る国です。満ち足りた状態で従わされる怖さならハクスリー、恐怖と言葉の統制の怖さならオーウェル。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』は人間そっくりの機械を狩る男が、相手との違いを見失っていく話で、問いは人間らしさの側にあります。オーウェル作品の問いは国家と真実の側。読みやすさに差はないので、個人の内面に寄るならディック、社会の仕組みに寄るならこちらから。









