あらすじ
ジョジーの家に迎えられたクララは、家族の会話や表情を注意深く観察しながら、ジョジーを支えようとします。けれど、ジョジーの病気は少しずつ重くなっていく。クララは、お日さまならジョジーを救ってくれるのではないかと考え、ある行動に出ます。家族が隠している計画も、次第に明らかになります。
読みどころ
クララの語りは純粋で、少しずれていて、だからこそ人間の身勝手さや優しさがくっきり見えてくる。SFの設定ですが、読み心地はやわらかい童話に近い。『わたしを離さないで』と同じく、多くを説明しない書き方なので、行間を想像しながら読むのが楽しい本です。
こんな人に
おすすめしたいのは。AIやロボットと人間の関係を、静かな物語で考えたい人。
2021年、作者がノーベル文学賞を受けてから初めて発表した長編です。
向かないかもしれない人
多くを説明しない語りなので、設定や家族の計画を明快に説明してほしい人には、行間の多さがもどかしく感じられそうです。病気が重くなる展開もあり、明るい話を求める時には不向きです。
比べ読み
『アイの物語』山本弘
人工知能が語り手になる点で並ぶ『アイの物語』は、分量が厚く、人類衰退後の未来でアンドロイドが物語を聞かせる構成。こちらはロボットのずれた観察から人間の身勝手さが浮かぶ、童話に近い読み心地。短めに静かな話を読みたいならこちら、厚みのあるSFに浸るなら向こう。
『ロボット』カレル・チャペック
「ロボット」という言葉を生んだチャペックの戯曲は、人造人間が人類に取って代わる短い古典。こちらは家族に迎えられたロボットが病気の少女を支えようとする話で、対立より寄り添いが軸。歴史の出発点を押さえたいなら向こうを先に、感情の機微を追いたいならこちらを。









