あらすじ
最初のページで、犯人は捕まります。だからこの本は「誰が」ではなく、「どうしてそこに至ったか」を追う物語として始まる。稔は愛を求めて殺人を重ね、母の雅子は家族の異変に気づいて怯え、退職した刑事の樋口は、知り合いの女性が犠牲になったことで、独自に事件を追い始める。
読みどころ
犯行の場面の描写はかなり残酷で、苦手な人にはすすめにくい本です。それでも名前が挙がり続けるのは、読み終えた瞬間に、それまでの全ページを読み返したくなるからだと思います。これ以上は何を書いてもネタばらしになりかねないので、ここまで。
こんな人に
おすすめしたいのは。残酷な描写に耐性があり、大きく驚かされたい人。
今手に入るのはこの新装版です。電車の中で読むと、周りの目がちょっと気になる内容なのでご注意を。
向かないかもしれない人
犯行の場面は容赦なく残酷に書かれ、耐性のない人には向かない。電車など人前で開きにくい内容でもあるので、暴力的な場面を避けたい人や、気持ちの明るくなる話を求める日には合わない。
比べ読み
『十角館の殺人』綾辻行人
どちらも予備知識なしで読むのが肝心な仕掛けの本。「十角館の殺人」は孤島の館に集まった学生たちを島と本土の二つの話で追う、新本格の始まりとされる本。「殺戮にいたる病」は冒頭で犯人が捕まり、三人の視点で連続殺人をさかのぼるうえ、犯行の描写がかなり残酷。描写の強さが気になる人は「十角館」を先に。
『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午
『葉桜の季節に君を想うということ』は霊感商法を調べる元探偵の話で、軽口の多い語りが特徴。『殺戮にいたる病』は愛を求めて殺人を重ねる男、異変に怯える母、元刑事の三つの視点で進む重い話。どちらも事前に何も知らないほど楽しめる本だが、残酷な場面が苦手なら『葉桜』から入るほうが無理がない。








