あらすじ
量子力学の多世界解釈が土台になっています。元の世界へ戻る方法を探す過程で、無数の並行世界が描かれる。追跡劇としての速度が最後まで落ちません。
読みどころ
設定の説明を最小限にして、逃走劇として読ませる作りです。SFに馴染みがなくても入っていけます。
こんな人に
おすすめしたいのは。一気に読める現代SFを探している人。
同じ著者の『リカージョン』も時間と記憶を扱っています。
向かないかもしれない人
量子力学の多世界解釈が土台だが、理屈の説明は最小限に抑えられている。設定の理屈を細かく検証しながら読むハードなSFを求める人には、食い足りなさが残るかもしれない。
比べ読み
『夏への扉〔新版〕』Robert A. Heinlein
読みやすさと物語性の星はどちらも5つ。『夏への扉』は1950年代の未来像に時代を感じつつ伏線の回収が気持ちよく、本作は多世界解釈を土台にした追跡劇で速度が落ちない。古典の前向きさに浸るなら夏への扉、現代の緊迫した逃走劇なら本作を。
『プロジェクト・インソムニア』結城真一郎
特殊な設定を筋の推進力にする点で並ぶ。『プロジェクト・インソムニア』は共有された夢の中で起きる殺人を解くミステリ寄り、本作は並行世界を逃げ回る追跡劇寄り。謎解きの手応えを求めるならインソムニア、速い展開に身を任せたい時は本作へ。








