あらすじ
イリーナが教官を務めるのは、女性だけの狙撃兵訓練学校。そこには、それぞれに戦う理由を抱えた少女たちが集められていました。厳しい訓練を経て、セラフィマたちはスターリングラードをはじめとする激戦地へ送られていきます。敵は目の前のドイツ兵だけなのか。セラフィマは戦場で、その問いに何度も向き合うことになります。
読みどころ
戦闘の描写は緊迫していて、冒険小説としてのスピード感と、戦争の非情さが同時に押し寄せてくる。女性兵士の視点から戦争を描いたことで、見えてくるものがたくさんあります。デビュー作とは思えない完成度で、厚さを感じさせません。
こんな人に
おすすめしたいのは。戦争を、教科書とは違う角度から考えてみたい人。
アガサ・クリスティー賞を受けたデビュー作です。スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』とあわせて読むと、理解がより深まります。
向かないかもしれない人
独ソ戦の戦場が舞台で、村を焼かれ母を殺された少女が狙撃兵になる話です。戦闘場面の緊迫感は強く、人が撃たれる描写を避けたい時期の人や、戦争ものに気が重くなる人には負担の大きい本です。
比べ読み
『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ
本屋大賞を受けた本どうしで、星の並びも重なります。ただ舞台は遠く、こちらは独ソ戦の激戦地へ送られる女性狙撃兵たち、『52ヘルツのクジラたち』は虐待やネグレクトの傷を抱えた人が誰かの声に耳を澄ます現代の話です。戦争の非情さと向き合えるときはこちら、身近な痛みから入りたいなら町田作品を先に。
『ホテルローヤル』桜木紫乃
分量の差がはっきりした組み合わせです。『ホテルローヤル』は北海道の湿原脇のラブホテルを軸にした短編集で、時間を逆向きにたどる軽めの本。こちらは厚い長編で、狙撃兵の訓練学校から戦場までを一本の流れで追います。短く区切って読みたい日は桜木作品、まとまった時間に戦闘の緊迫感へ浸かるならこちらを。








