あらすじ
優子は生まれたとき水戸という名字でした。そこから親の再婚や離婚があって、名字は何度も変わります。いま一緒に暮らしているのは三人目の父親の森宮さん。料理が好きで、少しズレたところのある人です。森宮さんとの日々を軸に、優子の家族の歴史がさかのぼられていきます。
読みどころ
設定だけ聞けば複雑で悲しい話に思えるでしょう。けれど実際は、どの親もそれぞれのやり方で優子を大事にしていたことが明かされていく話です。森宮さんとの食卓の場面がどれも楽しく、閉じたあと、誰かと一緒にご飯を食べたくなります。
こんな人に
おすすめしたいのは。家族のかたちについて、少し考えてみたい人。
2021年に映画化されています。気分が沈んでいるときでも読める、やさしい本です。
向かないかもしれない人
親の再婚や離婚が何度も出てくる設定ですが、悲しさより温かさが前に出る話です。家族の問題を厳しく掘り下げる作品や、ひりつく緊張を求める人には穏やかすぎるかもしれません。
比べ読み
『漁港の肉子ちゃん』西加奈子
星の並びは同じで、どちらも少し変わった親と暮らす娘の話です。『漁港の肉子ちゃん』は男に騙されるたびに町を移る母と小学生の娘で、笑いの量が多め。こちらは親が何度も替わった女子高生と、三人目の父との食卓が中心です。にぎやかさを求めるなら西作品、静かなやさしさなら瀬尾作品。
『阪急電車』有川浩
『阪急電車』は片道十五分ほどの路線で居合わせた乗客たちの小話が駅ごとにつながる構成で、こま切れの時間でも進められます。一つの家族の歴史を順にさかのぼるこちらは、通して読むほうが流れをつかみやすい作り。通勤の合間なら有川作品、休日にゆっくりなら瀬尾作品と使い分けられます。














