あらすじ
収録は七編。登場人物はほとんど交わりませんが、同じ建物が背景に立っています。北海道の寂れた土地の空気と、そこで生活する人たちの選択肢の少なさが伝わってくる。
読みどころ
時間を逆にたどる構成が効いていて、最後に読む話が最も古い時代になります。性の描写もあるが、扱いは乾いている。
こんな人に
おすすめしたいのは。短編で人生の断面を見たい人。
映画版は2020年に公開されました。
向かないかもしれない人
性の描写を含む短編集で、扱いは乾いているものの苦手な人は注意したい。時間を逆にたどる構成なので、一本の筋を順に追う長編を求める人にも向きにくい。
比べ読み
『悪人』吉田修一
土地の空気が濃い二冊。『悪人』は福岡と佐賀の峠や灯台が舞台の長編で、一つの事件を章ごとの視点で見直していく。ホテルローヤルは北海道の湿原のそばに立つラブホテルを背景にした七編で、登場人物はほとんど交わりません。じっくり長編に入るなら悪人、区切りながら読むなら本作から。
『紙の月』角田光代
『紙の月』は銀行で働く契約社員が客の預金に手を出していく道のりを、毎日の小さな判断の連なりとして一人に絞って追う。ホテルローヤルは同じ建物に関わった人々の断面を、時間をさかのぼって並べます。一人が踏み外す過程を見届けたいなら紙の月、多くの人生をのぞく形が好みなら本作が合う。









