棚の前で/人生の部/舟を編む

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棚の前で

『舟を編む』光文社文庫の書影書影:版元ドットコム

舟を編む

  • 人生
  • 光文社文庫
  • 分量:ふつう

辞書一冊を作るのに、十年以上かかる。言葉に取りつかれた編集者たちの話。2012年本屋大賞受賞作。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
光文社
判型
光文社文庫
刊行
2015年3月
ISBN
9784334768805

あらすじ

舞台は出版社・玄武書房の辞書編集部。定年を控えたベテラン編集者の荒木は、自分の後を任せられる人間を探していました。目をつけたのは、営業部で浮いていた青年・馬締光也。言葉に対して異様なほど真剣な馬締は、国語辞典『大渡海』の編纂に加わることになります。

読みどころ

「右」という言葉をどう説明するか、用例をどこから集めるか。ふだん目にすることのない辞書作りの細部が、いちいち面白い。一語一語に向き合う姿勢が、そのまま人との向き合い方になっていくのがこの小説の良さで、出てくる人がみんな少し不器用なのも温かい。

こんな人に

おすすめしたいのは。自分の仕事の意味を、ふと考えてしまう人。

2013年に映画にもなりました。言葉が好きな人は、本を閉じたら手元の辞書を開いてみてください。

向かないかもしれない人

辞書作りの細部が読みどころなので、起伏の大きい展開や事件を待つ人には進みが穏やかに映ります。不器用な人たちのやりとりが続くため、テンポの速い会話劇を好む人にも向きません。

比べ読み

『神様のカルテ』夏川草介

星がすべて同じで、どちらも一つの仕事に打ち込む人を描きます。『神様のカルテ』は信州の病院の内科医が主人公で、激務と終末期の医療が背景にあり、重さは一段上です。『舟を編む』は辞書編集部で用例を集める地道な作業が中心。気軽に職業ものを楽しみたいなら三浦作品から、命の現場に向き合う余力があれば夏川作品へ。

『食堂かたつむり』小川糸

『食堂かたつむり』は声を失った女性が故郷で一日一組の食堂を開く話で、分量は軽め。言葉に取りつかれた人々が辞書を作るこちらとは、声を出せない側と言葉を探し続ける側という対比になります。短い時間で温まりたい夜は小川作品、じっくり職人の仕事を追いたい週末は三浦作品が合います。

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