あらすじ
由紀は面会や手紙のやりとりを重ねて、環菜の話を聞いていきます。事件の弁護を受けもつのは、由紀の夫・我聞と兄弟のように育った弁護士の庵野迦葉。由紀と迦葉は大学の同期で、二人のあいだには口にしてこなかった過去があります。環菜の子どものころをたどる作業は、由紀が自分の中にしまってきたものにも手を伸ばしていくことになります。
読みどころ
2018年に単行本が出て、第159回直木賞をとった長編です。2020年にNHKでドラマに、2021年には堤幸彦監督で映画になりました。事件の謎を追う形をとっていますが、問われているのは誰が刺したかではなく、子どもが大人から何をされてきたかです。環菜の言葉と由紀の過去が重なっていく後半は、重いけれど手が止まりません。
こんな人に
おすすめしたいのは。子どものころに言えなかったことが、大人になっても体のどこかに残っている人。
2021年の映画版は、環菜と由紀が面会室で向きあう場面が軸になっています。文字で読んだ由紀の迷いが、俳優の表情になって目の前に出てきます。









