棚の前で/異邦人

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棚の前で

『異邦人』新潮文庫の書影書影:版元ドットコム

異邦人

  • 文学
  • 新潮文庫
  • 分量:軽い

「きょう、ママンが死んだ。」で始まる、世界でもっとも有名な書き出しの一つ。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
新潮社
判型
新潮文庫
刊行
2014年6月
ISBN
9784102114018

あらすじ

前半は、ムルソーの淡々とした日常と殺人までの数週間。後半は、逮捕されてからの裁判です。法廷で問題にされるのは、殺人そのものより、母の葬儀での彼の態度でした。社会が期待する感情を見せない人間を、社会はどう裁くのか。ムルソー自身は、最後まで嘘をつこうとしません。

読みどころ

薄い文庫で、文章もとても平易です。「普通はこう感じるはず」という決まりごとから外れた人が、どう扱われるかという話として読むと、今の世の中にもそのまま重なります。最後の独房での場面は、何度読んでも強い。

こんな人に

おすすめしたいのは。周りに合わせて感情を演じることに、疲れを感じる人。

今回紹介した『コンビニ人間』と並べて読むと、七十年以上離れた二冊が驚くほど響き合います。

向かないかもしれない人

実用度は星1つで、筋の起伏も控えめ。主人公の内面がほとんど説明されないので、登場人物に共感しながら読み進めたい人には手がかりが少なく感じられるかもしれない。

比べ読み

『変身』Franz Kafka

『変身』は読みやすさと物語性の星が4つずつで、こちらより一段入りやすい。どちらも社会の決まりから外れた一人の扱われ方を追う不条理の古典ですが、変身は家族という狭い場、異邦人は法廷という公の場が舞台。まず変身で肩慣らしをして、乾いた文体の異邦人へ進む順が無理がない。

『砂の女』安部公房

物語性は『砂の女』が星4つと高く、砂の穴から出ようと必死に抗う男の姿が筋を引っぱります。異邦人の主人公は抗うことなく、嘘をつかないまま裁かれていく。状況にあらがう話を読みたい気分なら砂の女、感情を演じない人の静けさに向き合いたい日は異邦人を。

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