あらすじ
ロドリゴを日本へ手引きしたのは、キチジローという弱くてずるい日本人でした。長崎の村に隠れ住む信徒たちに迎えられたロドリゴですが、やがて役人の手が迫ります。捕らえられた信徒たちがどんな目に遭うのか、ロドリゴは見ていることしかできない。そして彼自身にも、ある選択が突きつけられます。
読みどころ
キリスト教の知識がなくても読めます。むしろ「強い人だけが救われるのか」という問いは、信仰を持たない人にも刺さるはずです。何度も裏切るキチジローが、読み進めるうちにいちばん人間らしく見えてくる。重い本ですが、読み通したあとの手応えは大きい。
こんな人に
おすすめしたいのは。正しさと弱さのあいだで、迷ったことがある人。
2016年にマーティン・スコセッシ監督が『沈黙 -サイレンス-』として映画化しています。
向かないかもしれない人
信徒が拷問にかけられる場面があり、読みやすさは星3です。残酷な描写がつらい人や、救いのはっきりした話を求める人には重すぎるかもしれません。
比べ読み
『わたしを離さないで』Kazuo Ishiguro
『わたしを離さないで』も星の並びが同じで、抑えた語りの中に重い主題を置く点が共通しています。あちらは設定を知らずに読むほど効く本、こちらは拷問を受ける信徒を前にした司祭の選択を追う話です。信じることの重さを考えたいなら『沈黙』、記憶をたどる語りに浸りたいならイシグロを。
『変身』Franz Kafka
『変身』は一時間あれば読み切れる分量で、読みやすさは星4とこちらより一つ上です。働けなくなった一人を周りの家族がどう遇するかの話として読めますが、『沈黙』は信仰と弱さをめぐる重い問いに正面から向き合う本。まず名作の手応えを軽く得たいならカフカを先に、腰を据えられる時に『沈黙』を。









