あらすじ
学校の教師である男は、休暇を使って新種の昆虫を探しに、海辺の砂丘の村を訪れます。日が暮れて帰りのバスを逃した男に、村人は一晩の宿を世話する。縄ばしごを下りた先、砂の穴の底には、一人の女が住む家がありました。翌朝、縄ばしごは引き上げられ、男はそこから出られなくなっていたのです。
読みどころ
砂を掻き出し続けなければ家が埋まってしまう、という不条理な状況のなかで、「自由」とは何か、日常とは何かが問われていきます。必死に抗う男と、淡々と暮らす女の対比が鮮烈。読み返すたびに、違う読み方ができる作品です。
こんな人に
おすすめしたいのは。同じ毎日の繰り返しに、ふと疑問を持った人。
1964年に勅使河原宏監督で映画化されています。同じ作者の『箱男』も、奇妙な設定から人間を描いた作品です。
向かないかもしれない人
読みやすさは星3つで、話は砂の穴の底からほぼ動きません。テンポのいい展開を好む人や、閉じ込められる息苦しさが苦手な人にはつらい時間が続きます。
比べ読み
『変身』Franz Kafka
ある日突然、抜け出せない状況に置かれる不条理という点で近い二冊です。『変身』は短く、一時間ほどで読み終えられる長さで、読みやすさの星は4つ。『砂の女』は星3で、砂を掻き続ける日々の中で自由とは何かを問う比重が大きい。不条理文学に慣れていなければ変身を先に。
『異邦人』Albert Camus
『異邦人』も薄い文庫で文章は平易、普通の感じ方から外れた人の扱われ方を書きます。こちらは抗う男と淡々と暮らす女の対比が軸で、閉じ込められる息苦しさが強い。社会の決まりごとに目が向いている時は異邦人、日常の繰り返しに疑問がある時は砂の女が合います。









