棚の前で/金閣寺

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棚の前で

『金閣寺』新潮文庫の書影書影:版元ドットコム

金閣寺

  • 文学
  • 新潮文庫
  • 分量:ふつう

1950年に実際に起きた、金閣寺の放火事件。火をつけた若い僧の心の中を、三島由紀夫が一人称で書いた。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
新潮社
判型
新潮文庫
刊行
2020年11月
ISBN
9784101050454

あらすじ

溝口の語りで、少年時代から放火に至るまでが語られます。明るく屈託のない友人・鶴川、足に障害を抱え、それを武器にして女性を口説く皮肉屋の柏木。二人との関わりのなかで、溝口の中の金閣は、手の届かない美の象徴から、自分と世界のあいだに立ちはだかるものへと変わっていきます。

読みどころ

文章は硬く、比喩も多いので、すらすらとは読めません。それでも一文ごとの密度と美しさは、他の小説ではまず味わえない。柏木の台詞は毒がありますが、妙に説得力があって忘れられません。一度で分からなくても、何年か後に読み返すと別の箇所が光ります。

こんな人に

おすすめしたいのは。一度は三島由紀夫の代表作に挑んでみたい人。

三島由紀夫を初めて読むなら、まず短い『潮騒』から入るのも一つの手です。

向かないかもしれない人

文章が硬く比喩も多いため、読みやすさの星は2つ。筋の運びを楽に追いたい人や、放火に至る暗い内面の語りに長く付き合う気分でない人には重い。

比べ読み

『異邦人』Albert Camus

どちらも社会から外れた若者の内面を一人称で追う。『異邦人』は薄く平易な文章で、本作は硬い文と比喩が続き、読みやすさの星が一つ低い。名作の重さを手早く確かめたいなら異邦人を先に、一文ずつの密度に浸る時間がある時は本作に挑むとよい。

『李陵・山月記』中島敦

漢文調の硬い文章という点で通じる。『山月記』は十分ほどで読めて音読向きのリズムを持ち、本作は長い一人称で美への執着を積み上げていく。硬い文体への慣らしとして山月記を先に、手応えのある長さに向き合える時は本作へ。

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