棚の前で/ミステリの部/イニシエーション・ラブ

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棚の前で

『イニシエーション・ラブ』文春文庫の書影書影:版元ドットコム

イニシエーション・ラブ

  • ミステリ
  • 文春文庫
  • 分量:軽い

1980年代後半の静岡。合コンで出会った大学生と歯科助手の、ありふれた恋の話……に見える。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
文藝春秋
判型
文春文庫
刊行
2007年4月
ISBN
9784167732011

あらすじ

章のタイトルは、すべてその時代のヒット曲の名前。ポケベルもスマホもない時代、固定電話と手紙と車でのデートで、二人の恋が進んでいきます。後半、就職して東京で働くことになった鈴木は、静岡に残ったマユと遠距離恋愛を続けますが、職場で出会った女性に心が揺れ始めます。

読みどころ

ここに書いたあらすじだけ読むと、普通の恋愛小説です。それがこの本の一番大事な仕掛けなので、これ以上は言えません。当時の流行や小物の描写がやけに細かいのにも、ちゃんと意味があります。

こんな人に

おすすめしたいのは。恋愛小説のふりをしたミステリに、だまされてみたい人。

2015年に映画化されています。原作を先に読むことを強くすすめます。

向かないかもしれない人

前半は時代の流行を織り込んだ普通の恋愛の話として進むため、早く事件が起きてほしい人には退屈に映ります。固定電話や手紙の時代になじみがないと、細部が入りにくい面もあります。

比べ読み

『新参者』東野圭吾

星の並びが同じでも、仕掛けの置き場所が違います。『新参者』は刑事が商店街を歩き、人の小さな秘密をほどく正統な捜査もの。『イニシエーション・ラブ』は恋愛小説の姿をしており、あらすじ以上を知らずに開くことに意味がある作品です。人情の謎解きなら東野作品、だまされる体験を求めるなら乾作品を。

『氷菓』米澤穂信

『氷菓』は高校生が古い文集の謎を追う学園ものです。こちらは八十年代後半の静岡で進む恋が表の顔で、時代の小物の細かさにも意味があります。青春の謎解きを素直に楽しむなら米澤作品、恋愛ものの形をした仕掛けに挑むならこちら。どちらも分量は軽めです。

stock

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