あらすじ
章ごとに舞台となる店が変わり、それぞれに事件とは別の小さな謎があります。なぜ店員は嘘をついたのか、なぜ姑と嫁は不仲に見えるのか。加賀はそれを一つずつ解きながら、本筋の殺人事件へと近づいていきます。事件の謎と人情話が、同じ一本の糸でつながっています。
読みどころ
殺人事件の捜査なのに、読んでいていちばん心が動くのは、事件に関係のない人たちの小さな秘密だったりします。人形町の町並みや甘味が次々に出てくるので、読みながら散歩している気分になる。連作に近い形なので、少しずつ読み進めやすいのもいいところです。
こんな人に
おすすめしたいのは。謎解きより、人の事情が見えるミステリが好きな人。
加賀恭一郎シリーズの一冊ですが、ここから読んでも問題ありません。2010年にドラマ化されています。
向かないかもしれない人
章ごとに店と小さな謎が替わる連作に近い形で、本筋の殺人事件はゆっくり進みます。張りつめた捜査や大きなトリックを期待する人には、寄り道が多く感じられるでしょう。
比べ読み
『氷菓』米澤穂信
星がそろった、日常の小さな謎を拾っていく作品どうしです。『氷菓』は省エネ主義の高校生が三十三年前の文集の謎に引き出される学園もので、分量も軽め。こちらは人形町の店ごとの秘密を解きながら殺人事件へ近づく大人の話です。学校の空気が好きなら米澤作品、町歩きの楽しさなら東野作品。
『体育館の殺人』青崎有吾
『体育館の殺人』は傘と床の汚れだけを手がかりに論理を積み上げる本格ものです。『新参者』は事件と関係のない人々の嘘や不仲の理由を一つずつほどいていく人情寄りの作り。手がかりから犯人を絞る快感を求めるなら青崎作品、人の事情に触れたいならこちらを先に。













