あらすじ
熊野への旅が物語の軸になります。母を救いたいという願いと、母への嫌悪が同時に語られ、どちらも取り消されません。デビュー作にあたります。
読みどころ
第56回文藝賞と、第33回三島由紀夫賞を受けた作品です。文体を発明することで、扱えない感情を扱う試みが評価されました。
こんな人に
おすすめしたいのは。独特な文体の小説を読んでみたい人。
同じ作者の『推し、燃ゆ』は芥川賞を受けています。
向かないかもしれない人
独特の言葉で語り続ける文体で、読みやすさの星は3つ。すらすら読める文章や、母と娘の関係に明快な救いを求める人は、入り口で戸惑うかもしれない。
比べ読み
『四畳半神話大系』森見登美彦
どちらも癖の強い文体が持ち味だが、『四畳半神話大系』の擬古文調は大学生活を笑いに変え、本作の独特な語りは壊れていく母への愛憎を抱えたまま進む。星の並びは同じ。文体の遊びを軽く楽しみたいなら四畳半から、重い感情に向き合える時は本作へ。
『汝、星のごとく』凪良ゆう
親に振り回される子どもという点で重なる。『汝、星のごとく』は二人の視点で十五年を追う恋の話、本作は娘ひとりの語りで母との関係と熊野への旅を語る。読みやすさは汝、星のごとくが星一つ上なので、そちらを先にして、本作で文体の密度に挑む順が無理ない。










