あらすじ
瀬戸内海の島に暮らす高校生の井上暁海。母親の恋愛に振り回されて、京都から島へ越してきた青埜櫂。親の事情を背負わされてきた二人は、互いの孤独に気づいて近づいていきます。語りは二人の視点を交互に行き来しながら、高校時代からの十五年を追っていきます。
読みどころ
恋愛の話ですが、甘さより先に来るのは家族や土地の閉塞感とどう折り合いをつけるかという問いです。二人の視点が入れ替わるので、すれ違いの理由が読んでいるこちらにだけ見えてしまう。そのもどかしさに、ページをめくる手が止まりません。
こんな人に
おすすめしたいのは。家族や土地に縛られていると感じたことがある人。
続編の『星を編む』は、本編のまわりにいた人たちの話です。本編を読み終えてから開くほうが、ずっと響きます。
向かないかもしれない人
親の恋愛に振り回される家庭や、島から出られない閉塞感が長く続く。恋愛ものに明るさや甘い展開を求める人には、すれ違いのもどかしさが重すぎると映るかもしれない。
比べ読み
『ナラタージュ』島本理生
十五年の恋を二人の視点で交互に追う本作と、高校時代の顧問との関係の終わり方に重心を置く『ナラタージュ』。どちらも甘さは控えめで重さが残る。長い時間の流れごと受け止めたいなら本作を先に、一つの恋の幕引きを見つめたい時はナラタージュへ。
『きみはポラリス』三浦しをん
長編で一組の男女を追い続ける本作に対し、『きみはポラリス』は名づけようのない関係を十一の短編に割り振って置く。星の並びは同じ。腰を据えて一つの恋に付き合う余裕がある時は本作、一編ずつ区切って静かに読みたい夜はポラリスを。











