あらすじ
全十話の連作短編です。恵美と由香の話を軸にしつつ、恵美の弟のブン、その同級生、クラスの中心にいる子や、はぐれてしまった子へと、主人公が入れ替わっていきます。どの話も、学校という小さな世界での友だち関係のもつれを扱っていて、最後の一話で全体の語り手が誰なのかが見えてきます。
読みどころ
「友だちは多いほうがいい」という思い込みを、静かに、でもはっきりと否定してくれる本です。恵美の頑固さは読んでいて痛いほどですが、その分、由香との関係が胸に刺さる。子どもが主人公ですが、むしろ大人が読んで効く本です。
こんな人に
おすすめしたいのは。友だちの数を気にして、疲れてしまったことがある人。
一話ごとに区切りがいいので、寝る前に少しずつ読むのに向いています。中学生や高校生の子に手渡す一冊としても。
向かないかもしれない人
劇的な展開や大きな事件を期待する人には静かすぎるかもしれない。学校での友だち関係のもつれが続くので、教室のしんどい記憶がまだ生々しい人は時期を選んで。
比べ読み
『砂漠』伊坂幸太郎
友だちを扱う点は同じでも年齢が違う。『砂漠』は仙台の大学生五人の四年間を、西嶋という強烈な人物を中心に軽快に運ぶ。『きみの友だち』は学校の小さな世界で、主人公を入れ替えながら友だち関係のもつれを見つめる。笑いの多い青春がほしい日は『砂漠』、静かに刺さるものを求める日はこちら。
『ぼくは勉強ができない』山田詠美
『ぼくは勉強ができない』は十七歳の秀美が学校の正しさに疑問を投げる、短くて軽い一冊。『きみの友だち』は全十話の連作で、多数派に入らない子どもの側に長く寄り添う。どちらも大人が読んで効く学校もの。短時間で読み切りたいなら『ぼくは勉強ができない』、寝る前に一話ずつ進めたいならこちら。














