あらすじ
樹は野草にやたらと詳しい青年で、週末になるとさやかを連れて近所の河原や土手へ「狩り」に出かけます。ノビル、フキ、ツクシ、ユキノシタ。摘んできた草が、樹の手で天ぷらや佃煮になっていく。ただ樹は、自分の素性についてはほとんど話そうとしません。
読みどころ
話は甘めの恋愛ものですが、作中の野草料理はどれも本当に作れそうで、手順まで具体的に書かれています。季節ごとに摘める草が変わっていくので、読み終えたあと散歩道の足元を見る目が変わる。実用度に星を多めにつけたのはそのためです。
こんな人に
おすすめしたいのは。散歩が好きで、道端の草の名前を知りたくなった人。
2016年に岩田剛典、高畑充希の出演で映画化されています。春先に読むのがいちばんです。
向かないかもしれない人
話の芯は甘めの恋愛で、再読性とおすすめ度は星3にとどまる。込み入った筋や驚きを求める人、恋愛の甘さが苦手な人には物足りないかもしれない。
比べ読み
『太陽のパスタ、豆のスープ』宮下奈都
手を動かすことが支えになる二冊。「太陽のパスタ、豆のスープ」は婚約が破談になった女性がやりたいことリストを作り、恋をやり直すことをゴールにしない。「植物図鑑」は拾った青年と野草を摘んで料理する甘めの恋愛もので、料理の手順まで具体的。恋の甘さが欲しい日はこちら、恋から離れたい日は「太陽のパスタ」を。
『神去なあなあ日常』三浦しをん
「神去なあなあ日常」は三重の山奥で林業を学ぶ若者の一人称で、職業としての山仕事が具体的。「植物図鑑」は近所の河原や土手で草を摘む暮らしの話で、自然が身近な道端にある。仕事として自然と向き合う話なら「神去」、散歩の延長で草の名を知りたいならこちら。物語性は「神去」が星一つ上。













