棚の前で/人生の部/神様のカルテ

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棚の前で

『神様のカルテ』小学館文庫の書影書影:版元ドットコム

神様のカルテ

  • 人生
  • 小学館文庫
  • 分量:ふつう

夏目漱石を愛読するあまり、話し方まで古風になった内科医。信州の病院で、眠れない日々を送っている。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
小学館
判型
小学館文庫
刊行
2011年6月
ISBN
9784094086188

あらすじ

一止が暮らすのは、元旅館の古いアパート「御嶽荘」。写真家の妻・榛名と、売れない画家や大学生の住人たちとの暮らしが、病院の激務と交互に描かれます。そんな一止のもとに、大学病院で最先端の医療に関わらないかという誘いが来る。同じころ、大学病院で「もう治療法がない」と告げられた高齢の患者が、一止を頼ってやってきます。

読みどころ

作者は現役の医師で、地方病院の医師不足や終末期の医療を、説教くさくならずに書いているのが強みです。一止の芝居がかった口調は最初こそ戸惑いますが、慣れるとそれが優しさの照れ隠しに見えてくる。患者の老婦人が残した手紙の場面は、何度読み返しても胸にきます。

こんな人に

おすすめしたいのは。仕事に追われて、自分が何のために働いているか見失いかけている人。

2011年に櫻井翔の主演で映画になりました。シリーズは続編もあり、一冊目で気に入れば長く付き合えます。

向かないかもしれない人

主人公が漱石ばりの古風な話し方をするため、最初の数章で戸惑う人がいます。終末期の患者との場面もあり、身近な人の看病や死別を経験したばかりの人には、こたえる箇所があるかもしれません。

比べ読み

『舟を編む』三浦しをん

『舟を編む』は辞書作りに没頭する編集者たちの話で、仕事の手ざわりが中心です。こちらは地方病院の激務と、治療法がないと告げられた患者に向き合う内科医の話で、終末期の医療が背景にあります。気持ちを明るく保ちたい時期は三浦作品、働く意味を正面から考えたい時期は夏川作品が合います。

『ランチのアッコちゃん』柚木麻子

星が同じで、どちらも職場の行き詰まりから話が動きます。『ランチのアッコちゃん』は上司と一週間昼食を取り替えるだけの軽やかな話で、分量も軽め。こちらは眠れないほどの激務と、大学病院からの誘いの間で揺れる医師の話です。昼休みに気分転換したいなら柚木作品、腰を据えて仕事観を見直したいなら夏川作品を。

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