あらすじ
章ごとに語り手が替わります。桐島と同じバレー部の控え選手、ソフトボール部の女子、野球部をさぼり続ける男子、映画部で自主映画を撮る男子。それぞれが、放課後の過ごし方や、クラスのなかでの自分の位置について、口にしない本音を抱えています。
読みどころ
「上」と「下」に分かれた教室の空気を、どちらの側からも同じ距離で書いているのがすごい。作者が大学在学中に書いたデビュー作で、高校生の言葉づかいがとにかく生々しい。大人になってから読むと、誰の章に自分がいるかでちょっと考え込みます。
こんな人に
おすすめしたいのは。高校時代、教室の「空気」に疲れていた人。
吉田大八監督による映画版(2012年)も評価が高い作品です。同じ作者の『何者』は、舞台を大学生の就職活動に移した作品です。
向かないかもしれない人
物語性は星3で、大きな事件が起きるわけではありません。章ごとに語り手が替わるので、一人の主人公を追いかけたい人や、高校時代の教室の空気を思い出したくない人には落ち着かないでしょう。
比べ読み
『青くて痛くて脆い』住野よる
どちらも学生どうしの関係のずれを書く作品です。『青くて痛くて脆い』は二人で始めたサークルが別のものに変わっていく話で、一人の視点から関係の変質を追います。こちらは章ごとに語り手が替わり、教室の上下を両側から同じ距離で見せる構成。一つの関係に深く潜るなら住野作品、教室全体の空気を眺めるなら朝井作品を。
『宇宙のみなしご』森絵都
『宇宙のみなしご』は学校に行かない弟と夜中に他人の家の屋根へ登る話で、学校の外に居場所を作る方向。こちらは学校の中で、噂ひとつで揺れる生徒たちの数日を切り取ります。物語性は森作品のほうが一つ上なので、筋を追いたいならそちら、教室の生々しさを確かめたいならこちらが向きます。














