あらすじ
拓人は、人を観察して分析するのが得意な青年。誰が内定を取りそうか、誰の意識の高さが空回りしているか、冷静に見ています。面接の結果に一喜一憂しながら、五人は互いのSNSの投稿を気にし、言葉の裏を読み合う。やがて一人が内定を取ったあたりから、関係にひびが入り始めます。
読みどころ
SNSの投稿がそのまま作中に出てきて、読んでいる自分のスマホの中身まで見透かされている気分になる。終盤はかなり痛いところを突かれますが、その痛さこそがこの本の価値です。就活を終えた人にも、これから始める人にも。
こんな人に
おすすめしたいのは。SNSで、他人の近況を見て落ち込んだことがある人。
映画版(2016年)では佐藤健が拓人を演じています。同じ作者の『正欲』は、さらに踏み込んだ問題作です。
向かないかもしれない人
終盤で読者自身の弱みに触れてくる作りです。SNSや就職活動の話題そのものに疲れている人、言葉の裏を読み合う人間関係が苦手な人には息苦しく感じられます。
比べ読み
『きみの友だち』重松清
人間関係の痛いところを突く点で通じています。『きみの友だち』は友だちはたくさんいるほうがいいという考えを子どもの連作で崩し、『何者』はSNSの本音と就職活動で大学生の関係にひびを入れていきます。年齢の近い大人の話なら朝井作品、少し距離を置いて読みたいなら重松作品を。
『夜明けのすべて』瀬尾まいこ
どちらも若い世代が働くことと向き合う話ですが、温度が違います。『夜明けのすべて』は病気を抱えた二人が恋愛にならないまま支え合う静かで前向きな作り、『何者』は終盤で痛いところを突いてくる作りです。気持ちが弱っている時期は瀬尾作品、自分を点検したい時期は朝井作品を。














