あらすじ
語り手は男子部員のサトルと女子部員のナズナが交互に務めます。障害のある兄との暮らし、家を出た母のこと。島の風景と、合唱の練習の描写が並行して進みます。
読みどころ
合唱という共同作業を、個人の事情を消さずに書くところに力があります。著者は乙一の別名義で、構成の組み立ては手堅い。
こんな人に
おすすめしたいのは。合唱や音楽をめぐる話が好きな人。
2015年に映画化されました。同じ名義の『百瀬、こっちを向いて。』も文庫で読めます。
向かないかもしれない人
障害のある兄との暮らしや家を出た母のことが扱われるため、家族の事情を軽く読み流したい人には重みが残りそうです。音楽や部活の場面に関心が薄い人にも合いにくいかもしれません。
比べ読み
『屋上のウインドノーツ』額賀澪
音楽の部活ものとして並ぶ『屋上のウインドノーツ』は、人づきあいが不得手な少女が吹奏楽のマーチングに出口を見つける一人の話。こちらは男女二人の部員が交互に語り、兄や母の事情と島の合唱を重ねていく。一人の成長を追うなら向こう、複数の視点で合唱を見たいならこちらを。
『家族シアター』辻村深月
家族の事情が重なる点で近いのが『家族シアター』。あちらは七つの短編できょうだいや親子の距離がほんの少し変わるところを書く。こちらは合唱の練習という共同作業の中に個人の事情を置く長めの話。短く区切って読みたいなら向こう、一つの合唱部を通して見届けたいならこちら。








