あらすじ
章ごとに主役が変わります。経理、購買、子会社の社員。それぞれが自分の持ち場で見つけた小さな違和感を追ううちに、原価をめぐる不正と、それを黙認してきた仕組みが浮かび上がります。
読みどころ
殺人は起きません。組織がどうやって不正を隠すのか、その手順そのものが謎になっている企業ミステリです。働いたことのある人ほど、細部が刺さります。
こんな人に
おすすめしたいのは。会社を舞台にした話を読みたい人。
2019年に映画化。同じ作者の『下町ロケット』も文庫で読めます。
向かないかもしれない人
殺人も派手な対決もなく、謎の中心は社内の原価と会議の段取りです。会社勤めの経験がない人や、職場の話を休みの日まで読みたくない人には、身近すぎるか遠すぎるかのどちらかに寄ります。
比べ読み
『護られなかった者たちへ』中山七里
殺人のない企業ミステリと、殺人から始まる社会派の組み合わせです。『護られなかった者たちへ』は震災後の仙台を舞台に、福祉の窓口の事情を事件と重ねます。『七つの会議』の謎は、原価の不正を組織がどう隠してきたかという手順そのもの。職場の話から入るなら池井戸作品、制度の重さに向き合うなら中山作品を。
『聖女の救済』東野圭吾
どちらも犯人探しより「どうやったか」を追う形ですが、追う対象が違います。湯川が挑む『聖女の救済』は、妻の不在証明が崩れない毒殺の手口。こちらは章ごとに主役の社員が替わりながら、不正を見逃してきた仕組みに近づきます。冷えた夫婦の話を読む気分なら東野作品、職場の細部を追いたい日はこちらを。











