あらすじ
人々は庭に球根を植え、自動車レースを開き、赤ん坊の世話をします。パニックも略奪もほとんど起きません。北の大陸から届く謎の電信を確かめるため、潜水艦が航海に出る場面が中盤の山です。
読みどころ
1957年の作品です。破滅を描くのに、破滅の場面を一度も書かないという選択が徹底しています。静かなぶん、読み終えたあとが重い。
こんな人に
おすすめしたいのは。終末を扱った小説を、派手さ抜きで読みたい人。
同じ題材では『復活の日』が日本の代表作です。
向かないかもしれない人
破滅の場面を書かない静かな作りで、パニックや戦いの場面もほとんどない。派手な終末ものを期待する人には退屈かもしれず、重さを受け止める気力がない時期にも向かない。
比べ読み
『火星年代記』レイ・ブラッドベリ
星の並びが同じ二冊。「火星年代記」は火星への移住から去るまでを年代順の短編で積み上げ、一つの歴史にする。「渚にて」は北半球が滅んだあと、汚染が届くまでの数か月をオーストラリアの人々が普段どおり過ごす長編。人類の歩みを俯瞰したいなら「火星年代記」、終わりを待つ人の日常に寄り添いたいならこちら。
『アルジャーノンに花束を〔新版〕』Daniel Keyes
「アルジャーノンに花束を」は手術で知能が高まった青年の経過報告で、得るものと失うものを一人の文体の変化で見せる。「渚にて」は破滅の場面を一度も書かずに、大勢の普通の暮らしで終末を見せる。一人の心の変化を追いたい時は「アルジャーノン」、社会全体の静けさを読みたい時はこちらを。








