あらすじ
一編ごとに主人公も雰囲気も変わります。叙情的な話、皮肉な話、ホラーに近い話。火星の描写は科学的な正確さより詩的な印象を優先していて、砂と運河の風景が繰り返し現れます。
読みどころ
1950年の作品です。開拓と入植の歴史を、火星に置き換えて書き直した構造で、アメリカという国の自画像としても読めます。
こんな人に
おすすめしたいのは。詩的な文章のSFを読みたい人。
同じ作者の『華氏451度』も文庫で読めます。
向かないかもしれない人
火星の描写は科学的な正確さより詩的な印象を優先しています。理屈の通った設定や技術の考証を楽しみたい人には、物足りないかもしれません。
比べ読み
『タイタンの妖女』カート・ヴォネガット
どちらも火星が舞台に入る古典SFです。『タイタンの妖女』は大富豪が宇宙を連れ回される一本の筋を、とぼけた皮肉で押し通す。こちらは年代順の短編が積み重なって一つの歴史になり、叙情も皮肉もホラーに近い話も混ざる。一編ずつ区切って読みたいなら火星年代記を先に。
『紙の動物園』ケン・リュウ
短編が並ぶ形と、星の並びが同じ二冊です。『紙の動物園』は母の折り紙の虎が動き出す表題作をはじめ、最後に話の形が変わって見える短編集。こちらは火星の開拓と入植の歴史を一続きに語る連作。家族の話に触れたいなら紙の動物園、大きな時間の流れなら火星年代記を。










