あらすじ
表題作を含む三編が収められています。語りの枠として、はるか後の時代の記録係が資料を読み上げるという形式が使われていて、読者は結末を先に知らされないまま経過を追っていく。ほかの二編も、異種の知性との接触を別の角度から扱う。
読みどころ
設定の説明は最小限で、話のほとんどは会話です。相手を思いやる気持ちが、どこまでの決断につながるかが表題の意味に直結しています。結末には触れずにおきます。
こんな人に
おすすめしたいのは。短くて密度の濃い宇宙SFを探している人。
著者は長く男性名で発表していた女性作家です。代表的な短編集に『愛はさだめ、さだめは死』があります。
向かないかもしれない人
設定の説明は最小限で、世界の仕組みを細かく知りたい人には物足りない。宇宙を舞台にした派手な戦闘や冒険を期待する人には、会話の多さが静かすぎると感じられそうだ。
比べ読み
『クロストーク』コニー・ウィリス
他者の意識とつながる話という点で響き合う二冊。『クロストーク』は心の声が通じすぎる不快さを笑いに変え、会話の応酬の速さで読ませます。たったひとつの冴えたやりかたも会話が中心ですが、相手を思う気持ちが決断へ向かう緊張が軸。笑いたい気分ならクロストーク、静かな話を求めるなら本作を。
『タイタン』野崎まど
『タイタン』は働かなくていい世界で心を病んだAIと向き合う長編で、とぼけた会話のうちに話の規模が広がっていく。本作は三編を収め、はるか後の時代の記録係が資料を読み上げる枠で異種の知性との接触を語ります。一つの長い話に浸るならタイタン、短く密度の高い宇宙SFを求めるなら本作。








