棚の前で/SFの部/タイタン

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棚の前で

『タイタン』講談社タイガの書影書影:版元ドットコム

タイタン

  • SF
  • 講談社タイガ
  • 分量:ふつう

誰も働かなくていい世界で、生まれて初めて「仕事」を頼まれた。相手は、心を病んだAIだった。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
講談社
判型
講談社タイガ
刊行
2023年1月
ISBN
9784065302460

あらすじ

相手は北海道の弟子屈にある「コイオス」。原因の分からない不調で、処理の力が落ちている。内匠はコイオスが話し相手として作った人格と向き合い、どうして調子が悪いのかを聞き出そうとします。ところがコイオスは、そもそも「仕事」とは何なのかを内匠に問い返してくる。二人の対話は、やがて旅のような形をとっていきます。

読みどころ

単行本は2020年。吉川英治文学新人賞と日本SF大賞の候補に挙がりました。働かなくていい世界を舞台にすることで、なぜ人は働くのか、という当たり前すぎて考えない問いが、正面から出てくる。AIとの会話はとぼけていて笑えるのに、話はどんどん大きくなる。その振れ幅が野崎まどらしいところです。

こんな人に

おすすめしたいのは。月曜の朝、仕事に行く理由が分からなくなった人。

同じ作者の『know』も、技術が行き着いた先の社会で「知る」ことを問う長編です。

向かないかもしれない人

話の多くがAIとの対話で進み、「仕事とは何か」という問いを掘り下げる。派手な戦いや事件の連続を期待する人や、とぼけた会話の調子が合わない人には向かないかもしれない。

比べ読み

『クロストーク』コニー・ウィリス

どちらも心のつながりを技術の側から扱い、会話が笑える。「クロストーク」は気持ちが通じ合う手術で別人の声が聞こえてしまう話で、つながりすぎる不快さを喜劇にする。「タイタン」は心を病んだAIとの対話から、人はなぜ働くのかへ話が広がる。軽く笑いたい日は「クロストーク」、仕事について考えたい日はこちら。

『オービタル・クラウド』藤井太洋

「オービタル・クラウド」は現実の技術の延長だけで宇宙テロと国際政治まで広げる話で、手触りは現実寄り。「タイタン」は誰も働かなくていい未来を舞台に、AIとの旅のような対話で進む。今の技術の地続きを読みたいなら「オービタル・クラウド」、遠い未来から今の働き方を見直したいならこちら。星の評価は同じ。

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