あらすじ
物語は三方向から進みます。細胞を育てる利明、腎臓移植を受ける少女とその家族、そして培養されたミトコンドリア自身の視点。専門用語には説明が添えられていて、細胞の中で何が起きているのかを追いながら読み進められます。
読みどころ
恐怖の主役が細菌でも霊でもなく、誰の体の中にもある細胞小器官である点が、この作品を特別なものにしています。発表は1995年。分子生物学の知識を物語の骨格にした国産ホラーの出発点になりました。
こんな人に
おすすめしたいのは。理科系の知識が物語の芯にあるホラーを読みたい人。
同じ設定から派生したゲームや映画がありますが、筋はそれぞれ別ものです。
向かないかもしれない人
専門用語に説明があるとはいえ、細胞の話を追うのが苦手な人にはしんどいかもしれない。おすすめ度と再読性の星が低めで、気軽に怖がりたい夜向きではない。
比べ読み
『十三番目の人格 ISOLA』貴志祐介
どちらも専門分野の知識を土台にしたホラー。『十三番目の人格 ISOLA』は心理学や精神医療を題材に、十二の人格を持つ少女の中の異物を追う。『パラサイト・イヴ』は分子生物学で、細胞の中のミトコンドリアが意思を持つ。読みやすさの星は『ISOLA』が1つ上なので、理系ホラーに慣れていないならそちらから。
『粘膜人間』飴村行
『粘膜人間』は暴力や拷問の生々しさとブラックユーモアで押す、薄めの異色作。『パラサイト・イヴ』は三つの視点を行き来しながら、説明の添えられた科学用語で怖さを組み立てる。刺激の強さなら『粘膜人間』、理屈で詰める怖さならこちら。過激な描写が苦手な人は迷わずこちらを選びたい。








