あらすじ
物語は三つの章に分かれていて、それぞれ語り手が違います。最初は夫の秀樹、次は妻の香奈、最後はオカルトライターの野崎。怪異から家族を守ろうとする秀樹を、別の人物の目から見ると、まったく違う顔が浮かび上がる。後半では、霊媒師の比嘉真琴とその姉が、怪異と正面からぶつかります。
読みどころ
怪物の怖さと同じくらい、家庭の中にある身勝手さや無関心の怖さが描かれているのがこの本の読みどころです。後半は派手な対決になっていき、ホラーとしてだけでなくエンターテインメントとしても一気に読ませます。
こんな人に
おすすめしたいのは。怖いだけでなく、人間の嫌な部分も描いたホラーが読みたい人。
2018年に中島哲也監督が『来る』として映画化しました。比嘉姉妹が出てくるシリーズの一作目で、続きは『ずうのめ人形』です。
向かないかもしれない人
家庭の中の無関心や身勝手さが正面から出てくるので、夫婦や育児の話がいま身につまされる人には重く響きます。後半は対決色が強く、静かな怪談だけを求める人にも合いにくい作りです。
比べ読み
『おそろし 三島屋変調百物語事始』宮部みゆき
読みやすさと物語性の星がそろった怪談どうしですが、怖さの向きが違います。『ぼぎわんが、来る』は語り手が章ごとに替わり、家庭の身勝手さを暴きながら後半は霊媒師との派手な対決へ。『おそろし』は江戸の店で娘が客の怖い話を聞く形で、聞くことが立ち直りにつながる仕立てです。勢いのある現代ものならこちらを先に。
『死者のための音楽』山白朝子
同じ星5の読みやすさでも、こちらは怪異とぶつかる騒がしい本、『死者のための音楽』は死者と生者の近さを静かに扱う短編集です。怖がらせる力を求めるなら澤村伊智、悲しみの側に寄った話を読みたい夜は山白朝子を。乙一の別名義なので、その短編が好きな人は後者から始めても違和感はないでしょう。













