あらすじ
表題作の舞台は、〈数値海岸〉が開かれる2年前の開発の現場です。人の感覚をまるごと写しとる技術を作るために、開発チームの中心にいたのが、阿形渓という女性でした。見たもの触れたものを全身で覚えてしまう、特異な記憶の持ち主です。チームの一員のアンナ・カスキは、渓の存在に引きよせられ、その意識の中へ巻きこまれていく。ほかの4篇も、仮想の世界の別の時間と場所を描きます。
読みどころ
長篇『グラン・ヴァカンス』に続く〈廃園の天使〉シリーズの2作目で、単行本は2006年に早川書房から出ました。第6回センス・オブ・ジェンダー賞の大賞をとっています。『グラン・ヴァカンス』で伏せられていた〈数値海岸〉の成り立ちや技術の裏側が、ここで見えてきます。先に1作目を読んでおくと、5篇それぞれの手ざわりが何倍にもなります。
こんな人に
おすすめしたいのは。『グラン・ヴァカンス』を読んで、あの世界の外側がずっと気になっている人。
収録作は「夏の硝視体」「ラギッド・ガール」「クローゼット」「魔述師」「蜘蛛の王」の順。どれも1作目より前の出来事なので、表題作から読んでもかまいません。










