棚の前で/SFの部/自生の夢

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棚の前で

『自生の夢』河出文庫の書影書影:版元ドットコム

自生の夢

  • SF
  • 河出文庫
  • 分量:ふつう

言葉そのものが人を殺す。犯罪者の語彙を使って、危機に立ち向かう。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
河出書房新社
判型
河出文庫
刊行
2019年12月
ISBN
9784309417257

あらすじ

収録作は同じ世界を共有しつつ、独立して読めます。情報と言葉が現実を侵食する設定で、描写は視覚的かつ過剰。読む速度は自然に落ちます。

読みどころ

第38回日本SF大賞の受賞作。文章の密度そのものが作品の価値になっている点で、この作者の特徴がよく出ています。

こんな人に

おすすめしたいのは。文章を味わうタイプのSFが好きな人。

同じ作者の『グラン・ヴァカンス』も文庫で読めます。

向かないかもしれない人

読みやすさは星2で、描写は視覚的かつ過剰、読む速度が自然に落ちる密度の文章。筋をテンポよく追いたい人や、設定の説明を手早く知りたい人には負担が大きい。

比べ読み

『なめらかな世界と、その敵』伴名練

どちらも国内SFの短編集。「なめらかな世界と、その敵」は一編ごとに文体や語りの形式を変え、SFに不慣れな人の入口にもなる。読みやすさは星一つ上。「自生の夢」は言葉が人を殺す同じ世界を共有した作品が並び、視覚的で過剰な描写を噛みしめる種類。先に「なめらか」で慣れ、濃い文章に向き合える日にこちらを。

『虐殺器官〔新版〕』伊藤計劃

「虐殺器官」は世界で虐殺が増える裏にいる一人のアメリカ人を追う長編で、SFのアイデアと戦争小説の緊張感が両立する。「自生の夢」は言葉そのものが人を殺す世界を、密度の高い文章の短編で見せる。筋の推進力を求めるなら「虐殺器官」、文章の手触りを味わいたいならこちら。読みやすさは「虐殺器官」が星一つ上。

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