あらすじ
家を出る前、父が開いたパーティの夜に、ナタリーはある出来事に遭います。そのことを考えないようにしたまま始まった寮の生活は、うまくいきません。高慢な上級生、なじめない同級生、人気教授の若い妻で、酒に逃げているエリザベス。孤独なナタリーの前に、トニーという不思議な少女があらわれます。ナタリーの頭の中の声と、外の世界の境目が、少しずつあいまいになっていく。
読みどころ
1951年に出た、シャーリイ・ジャクスンの2作目の長編です。訳は市田泉。幽霊も怪物も出てきませんが、こわいのは、自分の考えていることが本当に自分のものか分からなくなる感覚のほう。2020年の映画『Shirley』は、ジャクスンがこの小説を書いていたころを下じきにした作品で、あわせて観ると、この本がどこから来たのかが見えてきます。
こんな人に
おすすめしたいのは。新しい場所になじめなかった時期の、居心地の悪さを覚えている人。
同じ2016年に、文遊社から佐々田雅子訳の『絞首人』という題でも出ています。訳者の違う二冊で、ナタリーの声の聞こえ方を読みくらべるのも一つの手です。










