あらすじ
惑星ソラリスの海は、幾何学的な巨大構造を作っては崩すという活動を続けています。作中には、この現象を説明しようとして失敗してきた学説の歴史が長く挿入されます。研究の積み重ねが一つも答えに届かない、その記録自体が物語の一部になっている。
読みどころ
この版はポーランド語の原典からの翻訳です。異星の知性を人間の言葉で説明しきれないという主題が、訳文の選び方にも出ています。訳者による詳しい解説付き。
こんな人に
おすすめしたいのは。答えの出ない問いを抱えたまま読み進められる人。
1972年のタルコフスキー監督版と2002年のソダーバーグ監督版、二つの映画があります。
向かないかもしれない人
読みやすさは星2で、海の現象を説明しようとした学説の歴史が長く差し込まれます。謎がきれいに解かれる話を求める人や、速い展開を好む人には足踏みが続くように感じられます。
比べ読み
『しあわせの理由』グレッグ・イーガン
星の並びは同じでも、理屈との付き合い方が正反対です。イーガンの短編集は設定の理屈を最後まで詰め切り、感情を失った男が好みを組み直す表題作を収めます。『ソラリス』は学説が積み重なっても海の正体に届かない、その届かなさを読ませる長編。解ける問いが欲しい日はイーガン、解けない問いと過ごしたい時期はレムを。
『百億の昼と千億の夜』光瀬龍
人間の物差しを超えたものに向き合う点で並ぶ二冊です。光瀬龍の長編はプラトンや阿修羅王が時代をまたいで宇宙が滅びるわけを追う、神話規模の虚無感が持ち味。こちらは一つの惑星の海と一つの調査基地に視野を絞ります。日本SFの広がりを見たいなら『百億の昼と千億の夜』、閉じた場所で考え込みたいならレムから。








