あらすじ
ほかの収録作も、意識や自己同一性を扱います。人格をソフトウェアとして複製する話、数学の基礎が場所によって違う話。専門的な説明が多いので、腰を据えて読む必要があります。
読みどころ
設定の理屈を、最後まで一切ごまかさないのがこの作者の特徴です。難しさは確かにありますが、読み切ったときの手応えは大きい。
こんな人に
おすすめしたいのは。理詰めのSFを歯応えごと楽しみたい人。
同じ作者の『祈りの海』も短編集です。
向かないかもしれない人
読みやすさは星2で、専門的な説明が多く腰を据える必要があります。寝る前に気楽に読める短編集を探している人には、重く感じられそうです。
比べ読み
『ソラリス』スタニスワフ・レム
どちらも人間の意識を扱うSFですが、向きが逆です。イーガンは自己や感情の仕組みを理屈で最後まで詰め、『ソラリス』は人間の言葉では説明しきれない異星の知性を前に立ち止まります。説明が尽くされる快感を求めるなら『しあわせの理由』、割り切れなさに浸りたい夜は『ソラリス』を。
『高い城の男』フィリップ・K・ディック
星の並びは同じでも、『高い城の男』は戦争の場面がほとんどなく、負けた国で暮らす人の遠慮や卑屈さを追う生活小説寄りの歴史改変SFです。専門的な説明を読む体力がある日はイーガン、理屈より人物の空気を味わいたい日はディックを先に選ぶと無理がありません。









