あらすじ
歩太は進路も定まらず、家には父の病が影を落としています。春妃は医師として落ち着いて見えて、自分の過去を抱えたまま生きている。歩太の恋人の夏姫は、姉と恋人のあいだで起きていることに気づいていきます。三人の距離が近すぎて、誰かが黙っていても空気で伝わってしまいます。
読みどころ
作者のデビュー作で、小説すばる新人賞を受けた一冊です。若い語り手の一途さを、恥ずかしがらずにそのまま書いています。のちに映画にもなりました。
こんな人に
おすすめしたいのは。年の差のある恋を真っすぐ書いた小説を読みたい人。
同じ作者には続編として『天使の梯子』があります。
向かないかもしれない人
再読性とおすすめ度は星3で、若い語り手の一途さを照れずに書く作風です。抑えた語りの恋愛ものや、ひねった展開を好む人には真っすぐすぎるかもしれません。
比べ読み
『コーヒーが冷めないうちに』川口俊和
星の並びがまったく同じ『コーヒーが冷めないうちに』は、過去に戻れる喫茶店を舞台にした一話完結の連作です。一人の語り手の一途な恋を追い続けるこちらに対し、あちらは話ごとに相手が替わります。まとまった時間で恋に没入したい日は『天使の卵』、短く区切りたい日は喫茶店のほうが向きます。
『きらきら眼鏡』森沢明夫
『きらきら眼鏡』は古本に挟まった名刺から始まる出会いの話で、実用度が一つ高い星2です。物事を明るく見続けようとすることの重さにまで踏み込む点が特徴で、年上の人への恋を真っすぐ書くこちらとは温度が違います。恋の熱を味わいたいなら先に『天使の卵』、前向きさの裏側を見たい時は『きらきら眼鏡』を。








