棚の前で/ミステリの部/ザリガニの鳴くところ

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棚の前で

『ザリガニの鳴くところ』ハヤカワ文庫NVの書影書影:版元ドットコム

ザリガニの鳴くところ

  • ミステリ
  • ハヤカワ文庫NV
  • 分量:厚い

湿地で、町の人気者だった青年の死体が見つかる。疑われたのは、湿地にひとりで暮らす「湿地の少女」だった。2021年本屋大賞翻訳小説部門第1位。

おすすめ度
★★★★★
読みやすさ
★★★★★
物語性
★★★★★
実用度
★★★★★
再読性
★★★★★

おすすめ度は、棚の前でが「まず一冊」としてどのくらい強く勧めるかを示す数字です。物語性・再読性・読みやすさと分量から決めています。

版元
早川書房
判型
ハヤカワ文庫NV
刊行
2023年12月
ISBN
9784150415198

あらすじ

六歳で母に去られ、兄や姉も次々と家を出て、酒に溺れる父もやがて姿を消す。カイアは、貝を掘って売り、鳥や虫を観察しながら、湿地の自然だけを友に育ちます。字を教えてくれた少年テイトとの出会い、そして町の青年チェイスとの関係。やがて物語は、事件をめぐる法廷の場面へと進みます。

読みどころ

作者は動物学者で、湿地の生き物や植物の描写が、ほとんど詩のように美しい。ミステリとしての謎解きよりも、カイアという一人の女性の生き方に心を持っていかれます。アメリカで長くベストセラーの上位に居続けたのも納得の一冊です。

こんな人に

おすすめしたいのは。自然の描写に浸りながら、心を揺さぶる物語を読みたい人。

2022年に映画化されました。厚い本ですが、後半は一気に読み進められます。

向かないかもしれない人

謎解きより一人の女性の生き方に比重がある本です。犯人探しの論理を主に楽しみたい人や、湿地の生き物や植物の描写が長く続くのを退屈に感じる人には、前半の歩みが遅く映ります。

比べ読み

『天使のナイフ』薬丸岳

事件の裏にある人の事情へ重心を置く二冊です。『天使のナイフ』は少年法のあり方を、傷つけられた側と傷つけた側の双方から問う社会派で、分量はふつう。『ザリガニの鳴くところ』は湿地でひとり育った女性の生き方と、動植物の細かな描写が厚みを生みます。制度を考えるなら薬丸作品、自然の暮らしに浸るならこちらを。

『Nのために』湊かなえ

謎解きの外側に恋愛の要素がある点で近い組み合わせです。『Nのために』は四人の若者の嘘と関係を追う作りで、終盤の一行の受け取り方が分かれます。こちらは字を教えた少年テイトや町の青年チェイスとの関係が、やがて法廷の場面へつながっていく厚い長編。短めに試すなら湊作品、まとまった休みにはオーエンズを。

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